さとまも談義|テクノロジーと体験とアートと

テクノロジーとビジネスと人の関係性にずっと興味があります。アートやダイバーシティのキーワードも含めて、世界がどう変わっていくか、変えていけるかをお酒を飲みつつ考えるブログ

論理思考は万能ではない

まあ、当たり前だよね、というタイトルの付けられたこの本。
なにげなく購入したところ、現職のOBが執筆した本でした。

論理思考が大事。実践しましょう。

コンサルタントでなくとも、昨今は当たり前に唱えられていることでしょう。

確かに自分の意見や主張を聞き手に間違いなく伝えるという点において、論理思考やフレームワークの効用はとても大きなものです。
その一方で、創造的な解決策を導き出すということに対して、論理思考がどこまで有効であるのか。その限界についての示唆を述べているのが、本書と言えます。

これは常にクライアントとコンサルタントの間で起こる論争をうまく表現しているように感じました。

たいてい、論理武装された分析・検討結果を持っていくと、「理屈はそうかもしれないけど」という反応になることが多いです。
論理思考に従って導き出したところで、響くかどうか、解決策になり得るかどうか、ということには1つの壁があるように感じます。
とはいえ、クライアントに迎合して耳障りの良い話をしても、存在価値を問われるわけで。
真に目指すべきは、深く考え抜いた思考や仮説検証に基づき、クライアントからも深い洞察を導き出し、新たな価値を見いだしていくことだと思います。

筆者のコンサルタントとしての経験に基づいたしみじみ感のある内容で、一読の価値はあるかと思います。特に論理ばかりを叫んでいる方には読ませたい一冊です。

一方で、個人的な評価としては、至極当たり前のことを書籍にしてくれたな、という感想でもあります。きっと調子に乗っていないコンサルタントであれば、誰しもが気づき、日々悩む点のはずです。

本書の中で気になったのは、クライアントから深い洞察を引き出すためには、自分自身が深くなければならない。自分自身を見つめ、軸を持っていなくては、本音を語り合うこともできない、というニュアンスで述べられている点でした。
ここがまだ、自分では体現できていない部分であり、自分を突き詰めていくこと、ぶれない価値観(大切にしていること)を再描画する大切さを感じています。